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「蜜蜂と遠雷」と「はちやさん」

やっと、読めた。

連休中、買っておいた「蜜蜂と遠雷」を読む時間が作れた。

 

細かい字に苦労するので

好きだった読書も、めっきり減ったが

これはとても面白く、ぐいぐい引き込まれた。

 

20代のころ、音楽教室で講師をしていた。

 
教室のひとつに
とても遠くて、車で通った場所がある。

のどかな里山で、目の前が田んぼ。
広い庭に裏山がある
農家の離れが教室だった。
 
母屋は典型的な農家で
玄関を開けると薄暗い土間があり
左側に板の間、奥が和室。
 
ビルの一角のオフィスのような場所や
幼稚園にある教室とは別格で
本当にピアノ教室なんだろうか?と驚いた。
 
 
「◯◯音楽教室の△△と申します。
今日から担当になりました」
 
あいさつに伺うと
腰の曲がった姉さんかぶりのお婆さんが
「そうかね〜
いま、畑から帰って来たところだ」
と告げた。
 
さっそく離れを案内してもらい
「この部屋は、使ってないから
自由に使ってください」と去っていった。
 
離れは、たぶん昔納屋だったのだろう。

改築をして、母屋より新しかったが
玄関の上り框はとても高く、
腰の曲がったおばあさんは
どうやって上がるのだろうと、
ふとよぎった。


がらんとした12畳ほどの和室には
何もなく
広縁に囲まれていた。

東側には、簡単なキッチンとトイレ、
南西の角に、アップライトピアノが
一台ぽつんと置かれていて

埃っぽい場所にテーブルと座布団、
西側の掃出し窓から
生徒さんが出入りできるように
外に置き石が置いてあった。


ようするに、和室ではなく
「廊下」でレッスンをするようになっていた。


なんだかすごいところで
レッスンする羽目になってしまったな

里山の1年目は、
なんと週に3回も通うことになっていた。



つづく。。。。